万葉人のジンクス
世の中にはいろいろなジンクスがあります。例えば、「くしゃみ」をすると「誰かがうわさをしているね」 などと。

万葉人は「
くしゃみ」のことを、「鼻ひ」と言いました。「鼻ひつ」は鼻水が流れることで「くしゃみ」を意味します。

「鼻ひつ」を略して「鼻ひ」と言っていた様です。

くしゃみが出ることは、恋人に思われている時や恋人が逢いに来る前兆 と、とらえていたようです。なんだかくしゃみをするとワクワク ドキドキしますね。


 「くしゃみ」を詠った万葉集

柿本人麻呂歌集より巻11に収められている歌を紹介します。

  
 今日(けふ)なれば

  鼻ひ鼻ひし 

      眉かゆみ(まよかゆみ)

  思ひしことは 君にしありけり

            巻十一 二八〇九
                女歌

  
 眉根掻き(まよねかき)

   鼻ひ紐解け(ひもとけ)

       待てりやも

  いつか見むと 恋ひ来(こ)し我れそ

            巻十一 二八〇二
                問答歌  
 眉根掻き(まよねかき)

   鼻ひ紐解け(ひもとけ)

       待つらむか

  いつしか見むと 思へる我れを

            巻十一 二〇四八  
                柿本人麻呂歌集