四 季 の 花

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 重井薬用植物園 



萌え出ずる里山  2019-11-17
園内、湿原は見渡す限りの草紅葉

湿地帯の丘には紅葉、黄葉
 
 湿地に咲く花にピント合わせ うまく撮れたかな

 
 


草紅葉(くさもみじ)の中で咲く、
竜胆(りんどう)
ヤマラッキョ
 
     






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2019-10-13




つる性植物と湿原の花
2019-05-26 

園内で生育している、つる性植物の中で花の色が開花時とその後に色が変わる植物を観察しました。

1本のつるでありながら白や黄色、または薄ピンクや濃いピンクの花が咲きます。

園長の説明では、人間と虫では同じ花を見ても見え方が異なっています。人は[可視光線]に含まれる色で花を見ています。虫は[紫外線]を見ることができ、花の蜜や花粉の場所などが判断できます。

花の咲き始めと咲き終わりの色が違うのは、咲き始めの色は受粉を待つ色、花の色が変わるのは、受粉して、[虫が来なくてもいいよ]というメッセージなのかも?というお話。なるほどね~ と、自然界の不思議と合理性を感じました。

湿原観察(倉敷の尾瀬)ではトキソウが満開。湿原全体に満開のトキソウが迎えてくれました。満喫しました。


 写真にマウスを置くと花が大きくなります  

テイカカズラ(定家カズラ)のいわれ

後白河帝の第3皇女[式子内親王]と[藤原定家]は想いを寄せ合っていましたが、[式子内親王は加茂の斎宮となり、出家後亡くなります。

藤原定家は、亡くなったのちまでも式子内親王を想い、定家の死後式子内親王の墓を蔦で覆ってしまいました。

内親王が苦しみ僧に読経を頼み解放してもらったという逸話があります。

テイカカズラの古名はマサキカズラ 

藤原定家の墓から生えてきたマサキカズラが、式子内親王の墓を覆い隠すようになったのでテイカカズラと呼ばれるようになったとの話もあります。
石(いわ)綱の また をち返(かえ)り 青丹(あおによし)

奈良の都を またも見むかも
 
 万葉集巻6-1046   詠み人知らず
 
 写真にマウスを置くと花が大きくなります  

スイカズラ


花の色は最初は白く、やがて黄色になるので、
金銀花という呼び名があります。

花弁は特徴のある形で、唇のような形で蜜があることから、和名は[吸い葛]

冬でも残っているので[忍冬(にんどう)]ともいいます。
 
シロツメクサのいわれ(園長の話)

日本の陶磁器などをヨーロッパに輸出するとき、壊れないように詰め物に和紙、浮世絵の印刷ミスや使い古しなどを利用していました。

ヨーロッパでは詰め物は、、紙は貴重なので、安くてふんだんにある、家畜の飼料にしていたクローバの干し草。

そこで、ヨーロッパから日本に向けてギヤマン、ガラス製品の詰め物に干し草を利用したと思われます。

この詰め草は 白い花が咲くのでシロツメクサとなったとのこと。

ちなみに、赤い花はアカツメクサ



重井植物園の湿原(倉敷の尾瀬)は見渡す限りトキソウ、トキソウ、トキソウ。木道のすぐそばに咲くトキソウはじっくり観察できました。

ハンカイソウ、マイズルテンナンショウ、キビノミノボロスゲ、ハンゲショウ、アザミ、・・・名前のわからない草・・・


 湿原の至る所に     咲き乱れる ト キ ソ ウ



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ゲンノショウコの花は小さくて可愛い えっ これが種の姿 ? ? 何とも摩訶不思議な・・・














とんど焼きで昔を楽しむ   2019-01-14

1月15日は「小正月」 正月飾りや書初めを焼き、無病息災を祈り「とんど焼き」が行われます。

重井植物園でも竹でやぐらを作り、昔ながらの火の起こし方で火種を作りとんど焼きをしました。

【古代式火おこし方法】

乾燥させたガマの穂をほぐしたものに火打ち金で火打石の角を削るように打ち付けてで火花を飛ばします。
  (ガマの穂の繊維は木綿の1/10の細さです)

小さな火の粉がガマの穂につくと麻ひもや炭にした木綿片などでほぐしながらやさしく吹いて火種を作ります。

火口に用意したワラや木片の削り片などに火種を置き、吹いて火種を大きくすると組んだやぐらに火がつき燃え上がります。

皆さんが持ってきた正月飾りや書初めをやぐらに入れ無病息災を祈ります。

とんどの火が小さくなると長い竹の先にお餅を刺しこの火で焼き、小豆粥にいれて頂きました。

残り火にイモを入れ、焼き芋もしました。

(今回はガマの穂に火が付きにく大変苦労して火おこしをする事になりましたが、これもまた、楽しい経験でした)

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スイランの絨毯を楽しむ   2018-10-13

スイランは[水蘭]と書きますが、ランの仲間ではなく、キクの仲間の多年草です。

植物園の湿地にはこの季節スイランの黄色い花が咲き乱れ、まるで黄色の絨毯を敷き詰めたようで見事です。


湿地には草の間にかわいい花が咲いています。しばらく見ているとあちらこちらに咲いているのがわかります。
 
重井植物園の池には、青空が映っています。  湖面に影をおとすミツガシワ 


 
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黄色いスイレンの絨毯の手前にはサワギキョウ
見渡す限りのスイレンに 圧倒されます。
スイレンをよく見ると黄色いニガナの花にも似ています。



 










初秋の花 2018-09-23 
片岡園長から植物の摩訶不思議な生態を聞きました。その中の一部を紹介します。
タヌキマメ

[タヌキマメ(狸豆)]の名前の由来

毛の生えたガクに覆われた豆のさやを狸の姿、尻尾に見立てたとも、花の様子がタヌキの顔に似ているからとも言われています。

タヌキマメを見た時、これは種なのか?と思いましたが、何と何とつぼみです。

花は午前中には開花せず、正午ごろになると開花し始めるユーモラスな花です。

実際、観察を始めた時は花は一つも咲いていません。ところが正午ごろになると一つ二つと咲き始めるではありませんか。

何ともユニークな花です。
 
      午前中のタヌキマメ 正午ごろになってつぼみがポット咲き、沢山咲きました



ワレモコウ

漢字で書くと、[吾亦紅] [吾(我)木香] [吾(我)毛香] [吾木瓜]などあり、由来についても諸説乱立。

[吾亦紅]・・・俳人高浜虚子が詠んだ[我も亦 紅なりと ひそやかに]の句が有名なように、[私も赤い花なのだ]と花が訴えている。という話からきているようです。実際花の色は濃い赤か、えんじ色か、黒っぽい茶色なのか?

[吾(我)木香]・・・生薬で芳香のある木香(インド原産)と、本種では芳香はないが同様の薬効があることから、我(我が国)の木香と称したのでは?

などなど諸説あります。

特に興味を引くのは、源氏物語のなかで、「物気無き(目立たない、みすぼらしい)」とされており、万葉人には少々受けの悪い植物だったのでしょう。残念なことに万葉集には登場していません。

しかし時代を経て、小林一茶、高浜虚子、が俳句に、若山牧水が短歌に詠むなど、現代も秋の風情や、もの寂しさを感じさせる植物として愛され続けられている植物です。

 
   
小林一茶  吾亦紅 さし出て花の つもりかな  高浜虚子  吾も亦 紅なりと ひそやかに
若山牧水  吾木香 すすきかるかや 秋くさの さびしききはみ 君におくらむ 



ミズアオイ

絶滅危惧種で夏から秋にかけて青紫色のはなを咲かせます。雄しべと雌しべが花の中心から左右についています。つく位置がそれぞれ左右反対の2種類があります。まるで鏡に映したようなので、[鏡面対象]といいます。

これは、花粉を運ぶアブなどの昆虫が訪れた際に、大型の青紫の雄しべを足掛かりにして花にとまると、体が斜めになり、反対側の雌しべに花粉がつき受粉しやすくなっています。




湿原の花  2018-08-11 
 
ミツガシワ科の植物のうち、3種類(アサザ、ヒメシロアサザ、ガガブタ)を観察しました。

これらの花は環境省、岡山県で絶滅危惧・準絶滅危惧に入っています。



アサザ(ミツガシワ科)

 浮葉性植物で黄色い花を咲かせます。「ハナジュンサイ」の別名があります。

 環境省レッドリストでは「準絶滅危惧」とされています。



 

ガガブタ(ミツガシワ科)

 生育場所であるため池や湖沼の水質汚濁や改修工事、埋め立てなどにより減少しつつあります。

 環境省レッドリストでは「準絶滅危惧」とされています。

 花弁は白色で、内側に白色の細毛が密集しています。

 和名は「かがみ ぶた」(鏡蓋)が由来であるとされています。ため池などの水面を「鏡」に見立て、本種の葉が水面一面に繁茂している様子を「鏡に蓋をしているようだ」ということで、「鏡蓋」とされた、という説があります。

 

ヒメシロアサザ(ミツガシワ科)

 写真にまうすを当ててください。かわいい花が咲いています。

 白い色の小さな花が水面からわずかに顔を出すようにして咲きます。

 花は一日花です。今日のその日を一生懸命に咲きます。 

 ガガブタの花とよく似ていますが、花はとても小さく、花冠の毛の生え方が違います。

 和名は、「姫白、荇菜」。「荇菜」は「あさざ」「おみなめ」とも読みます。鮮黄色のアサザの花に比べて小さく、白い花なので「姫白」の名を付けたようです。

重井植物園の池にはミツガシワが繫茂しています。

春には花や葉が茂っていますが、この季節は葉が枯れています。

池にはミツガシワ、ガマ、エゾミソハギが茂っています。
8月の暑い季節は葉が全て枯れています
枯れたミツガシワの向こうはガマが茂っています
 春のミツガシワ
葉が茂り、水面にはつぼみや花が満開
     
ガマの穂 ガマとエゾミソハギ 満開のエゾミソハギ
 
ゴマキ(花にマウスを置いてください)

に白い小さな花が沢山咲きます
葉っぱはゴマの香りがかすかに

には花が赤い実に変身 ゴマの香りはどこへやら
ヒオウギの花  花が終わるとクルクルと渦巻に  平安時代には扇が檜の薄板で作られ
葉っぱが扇に似ていることから
檜扇(ヒオウギ)と言われた 
 花が終わると果実をつけ、秋には熟して弾けると中からツヤツヤの黒い種が出てきます。
この種は射干玉(ぬばたま)と呼ばれ、黒から「黒髪」「夜」をあらわし、万葉集に詠われています。
 

ぬばたまの 夜の更け行けば 久木生ふる(ひさぎおふる) 

清き川原に 千鳥しば鳴く

                                            
                              巻6-925  山部赤人









ツツジ観察   2018-04-21

片岡園長の話

コバノミツバツツジ」は瀬戸内地域の里山を代表するツツジです。日当たりのよい場所に生育する落葉低木です。

明るい環境では多くの花を咲かせますが、里山が管理されなくなると徐々に減少していきます。

和名は、「
小葉の・三つ葉・ツツジ」で葉が小さいミツバツツジの意味です。

子どものころオレンジ色のツツジ(
ヤマツツジ)の花の蜜を吸って遊んだ思い出があります。ところが、「レンゲツツジ」には毒があります。。牛の放牧地でレンゲツツジが沢山咲いているのを見かけますが、これは、牛が毒があるから食べ残している結果「レンゲツツジ」が沢山咲いているようになるのです。

ちなみに、「
ヤマツツジ」に毒はありません。

「ツツジ」を漢字で書くと「
躑躅」。「行ったり来たりする」「2,3歩行っては止まる」ことを表しています。ツツジの美しさが人の足を引き留め、引き返させるので「躑躅」の字があてられた。と思うとロマンティックですね。

しかしながら、中国ではツツジ全体を指すのではなく、有毒であるレンゲツツジの母種、トウレンゲツツジを「羊躑躅」と言い、羊が食べるとフラフラと躑躅することを意味しています。日本に伝来したとき、「羊」の字が外れ「躑躅」となったと考えることが最も適当と思われます。

 園内の花を紹介
コバノミツバツツジ キシツツジ(水辺や池の周辺によく咲いています。岸辺に咲くので「キシツツジ」) 
ツツジの仲間でスズランに似たかわいい花を咲かせるもので「満点星」とか、「フウリンツツジ」などという素敵な別名があります。

ウスノキ」「サラサドウダン」「アセビ」「ナツハゼ」「ブルーベリー」などです。


万葉集では、つつじを「白つつじ」「岩つつじ」と詠っています。
 
巻9-1694   柿本人麻呂

     栲領巾(たくひれ)の  鷺坂山(さぎさかやま)の  白つつじ       
              我に にほはに  妹に示さむ             


巻2-185    日並皇子宮舎人(ひなみのみこのみやのとねり)

     水伝ふ(みなつたふ)  磯の浦廻(うらみ)の  岩つつじ           
              茂く咲く道を  またも見むかも
                                   









筆の花咲く春を楽しむ会   2018-03-24
 
「筆の花」とは「ツクシ」の呼び名のひとつ。「土筆」とも書くように、昔の人はツクシの姿から筆を連想したのでしょう。

園内は足の踏み場もないようにいたるところにツクシが咲いています。その間に春を告げる花が咲いています。

植物園の池にはミツガシワが蕾を付けて咲き始めています。

江戸彼岸桜の木の下は足の踏み場もないほどのツクシ

江戸彼岸桜が満開       花の茎の様子に注意。

何となくひょうたんに似ているので、
ひょうたん桜とも言います。 
・ タネツケバナが咲いています  ・花は小さく1㎝にも満たない可愛い花 ・タネツケバナにたくさんの種がついている
稲の種を水につけ苗代の準備をする頃に咲くので「タネツケバナ」と言います。

オキナグサ キビヒトリシズカ 固いつぼみ 春蘭

草刈りだけの土手などはツクシが良く生えます。

スギナは厄介な雑草だと抜きますが、地下茎が少しでも残っていると、再生してスギナばかり生えます。

ツクシは炒めたり天ぷらにしたり佃煮にしたりして食べます。

子どものころツクシ採りに興じた思い出がありますね。
 よ~く見て! ツクシがいっぱい  ツクシの「はかま」は退化して癒合した葉  
 
 万葉集には土筆(つくし)を詠った歌はありません。昔の人は土筆(つくづくし)と読んでいたようです。

 秘蔵抄 大伴家持(伝)の土筆を紹介します。

      片山の しづが畠(こもり)に 生いにけり

                     杉菜まじりの 土筆(つくづくし)かな





春の訪れ   2017-03-25
 園内は春が芽吹いていました。早春の歌枕の一つであるオキナグサ(翁草)の観察会。

 早春に細かく切れ込んだ羽状の葉が開くと、赤紫の花がうつむき加減に開きます。

 三寒四温の今日この頃、羽状の葉はまだ縮こまっていて、花も暖かい毛に包まれ,ほとんど蕾。

 
オキナグサは幻の野草とまで言われています。

 花が咲いた後、白く長い綿毛に覆われた実をつけます。その白い毛を白髪の老人にたとえて

 「オキナグサ(翁草」と名付けられたといわれています。

 別名は、
フデグサ(筆草)、ゼカイソウ(善界草)、ネコグサ(猫草)などがあります。

 また、東国地方では花茎よりも根の方が長いところから「
ねっこ草」と名付けられ、

 「寝っ娘(こ)」すなわち共寝した娘と掛けて万葉集にも詠われています。

    芝付き(しばつき)の

        御宇良﨑(みうらさき)なる ねっこ草

    相見(あいみ)ずあれば 我(あ)れ恋ひめやも

   
              
巻14の3508 詠み人知らず
 
羽状の葉 少し開きかけ 日が差し始めると開きました
園内に「タラヨウ」という木があります。

葉の裏に先のとがったもので文字や絵を描くことができます。
 
インドで写経に用いられていた多羅樹(たらじゅ)にちなんでつけられたらしい。

試しに書いてみました。

書いたときは何も見えませんでしたが、少しすると

摩訶不思議・・・・文字が浮かび上がってきました。

万葉人たちは、想い人にタラヨウの葉に文を託していたのかも?


「アセビ」は「スズラン」のような花が沢山連なって咲きます。

馬が誤って食べてフラフラになった様を見て「
馬酔木」と言われたようです。

毒性があるとして、アセビを煎じて牛の体を洗い、ダニや虫の駆除に使用したとも言われます。




 
     
 












万葉人と   2016-10-22

 重井薬用植物園の入り口に檜扇(ひおうぎ)があります。7月~9月にかけて咲きます。
10月に行ったときは黒い実になっていました。

 万葉集では檜扇(ひおうぎ)そのものを詠んだ歌はありません。檜扇の黒い実を「ぬばたま」と言います。
これを「黒」「夜」などを導く枕詞(まくらことば)として使っています。

 ぬばたま」を詠った万葉集を紹介します。
 
檜扇の黒い実「ぬばたま」

 居明かして 君をば待たむ
  ぬばたまの
    我が黒髪に 霜は降るとも

巻2-89
 磐姫皇后(いわのひめのおおきみ)



 
あかねさす 日は照らせれど
   ぬばたまの
    夜渡る月の 隠らく惜しも
 巻2-169  
   柿本人麻呂


 



重井薬用植物園 観察会   2016-05-21

今回は動物の名前のついている植物の観察会です。園内の花を紹介。

シロウマアサツキ」「 クマツヅラ」「「クマシデ」「イヌツゲ」「ヘビイチゴ」「クマノミズキ」などもありましたが、名前だけの紹介です。

クマツヅラ」は漢名では「馬鞭草(ばべんそう)」とも言い、一般的には「バーベナ」と言われています。

クマノミズキ」は熊ではなく、(熊野地方のミズキ→クマノノミズキ→クマノミズキ)と変化していったようです。

植物の名前が身近な動物の名前で親しまれていて、自然と共存する日本人の心を改めて感じた観察会でした。
   「タヌキマメ

 花が咲いていないので葉を見ただけではわかりません。

 右下の 花は8月に砂川公園で撮影したものです
   「ヒナギキョウ

 どんな鳥のヒナを連想するのでしょうか?

 植物の名前は小さいものは「こ・・・」「ひめ・・・」「ひな・・・」と付くので、小さいキキョウだから「ヒナギキョウ」なのでしょうか? 

 本当に小さくて可愛い花です。
   「サルトリイバラ

 トゲがあり、山を歩いていると引っかかって困ります。サルも引っかかることから、「サルトリイバラ」

 別名に「サンキライ(山帰来)」生け花によく使われています。
葉は二つに折りたたむと両手を合わせ柏手(かしわで)を思い柏餅を包むのに使われています。
   「トキソウ

 園内の湿原はトキソウで満開。見事です。

 花が小さいので上から見下ろすようになりますが、花を空にかざし下から見上げ、鳥の朱鷺の羽色に見立てて付けられた名前。
   「マイヅルテンナンショウ

 二本のテンナンショウがお互いに向き合っておしゃべりをしています。よく見てね。

 テンナンショウの仲間には「マムシグサ」「ウラシマソウ」「ムサシアブミ」「ユキモチソウ」などがあります。サトイモ科に属しています。
   「イヌビワ

 「イヌビワ」は「イヌの(=小さい、つまらない)ビワ」といった意味が有りますが、じつはビワの仲間ではなく、イチジクの仲間です。

 写真の実を見ると、イチジクに見えますね。
 
 食べたことはないですが、黒くなった実は甘くておいしいそうです。
   「ウツギ

 ウツギの花を見て持統天皇の万葉集が浮かびました。

  「春過ぎて 夏来たるらし 白妙(しろたえ)の 
  衣ほしたる 天の香具山

     巻1-28  持統天皇

 春から夏への季節の移ろいを詠ったと思われます。万葉の時代は新しい季節は神が連れてくると考えられていたようで、春から夏への季節の推移を感謝する気持ちでしょうか。

 この季節に咲く白い満開のウツギを見て「白妙の衣ほしたる」はもしかしたら、香具山一面に咲くウツギだったかも?と想像して万葉人の時代を共感した一日でした。

 ちなみに、新古今集で
  「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
  衣ほすてふ 天の香具山」  巻3 夏 175

 小倉百人一首では、上の句と下の句で読まれています。





重井薬用植物園のショウブ観察会に参加しました。   2016-05-05
植物園の片岡園長の「ショウブとアヤメ」の話と、植物園だよりからの紹介。
・「いずれ あやめ か かきつばた」といわれるように、「ショウブ」「アヤメ」「カキツバタ」
 「ハナショウブ」はよく似て間違えやすいです。
・特に「菖蒲」この漢字は「ショウブ」とも「アヤメ」とも読めます。    
・ショウブはショウブ科(以前はサトイモ科)。
・アヤメやカキツバタ、ハナショウブ類などはアヤメ科。
・アヤメ科アヤメ属の植物を「アヤメ」と呼ぶようになったのは 18世紀以降。
・混同を避けるために本種のショウブを音読みの「ショウブ」。下の図を参照。
 香りが魔を祓うと考えられて、端午の節句には無病息災を願う行事に利用されていた。
・鎌倉時代以降、武家社会になると「ショウブ」という名が、「尚武(武道を尊ぶ、重んじる)
 に通じ、本種の葉の形も刀に似ていることから端午の節句は「尚武の節句」として
 武家では特に重要な行事として、行われるようになったようです。
 その後、庶民の家庭でも祝うようになりました。
・お風呂に入れて「しょうぶ湯」を楽しむ風習があり、薬とするよりも、さわやかな芳香と葉の
 みずみずしい 緑と、季節感を楽しむ目的になっていったようです。
以上、講師や植物だよりからまとめました。


   ショウブ アヤメ  カキツバタ  ハナショウブ 
 漢字 菖蒲(音読み) 菖蒲(訓読み) 杜若 花菖蒲
 花  小さな花の集まった花序を包む
「仏炎苞」がなく、猫じゃらしみたい
花弁の元が
網目状の模様  
花弁の元が
白の目型模様  
 花弁の元が
黄色の目型模様 
 生育場所 水辺   水辺 畑地・湿地 
ショウブ(菖蒲または尚武) カキツバタ(杜若) アヤメ(菖蒲)
ほととぎす 今来(いまき)鳴きそむ
  あやめぐさ かづらくまでに   
    離(か)るる日 あらめや

  巻19-4175 大伴家持
われのみや 斯(か)く 恋すらむ 
  杜若(カキツバタ)
   丹(に)つらう 妹(いも)は
       如何にかあるらむ

  巻10-1986  作者不詳
万葉集には
ショウブを詠んだものが12首
 カキツバタが7首        
そのうちの各1首を紹介。  

ショウブをあやめぐさと言っていた。